◆所蔵品から◆資料ナンバー6004・5686その他 キーワードは「国策」 の話 資料班


 
写真 湯たんぽ

国策湯丹保(ゆたんぽ)

 今回は、ピースあいちの資料のなかで、「国策」という言葉が使われていものをいくつかご紹介します。
 まずは湯たんぽ。金属製ではなく、陶器でできています。
 ピースあいち2階町屋コーナーで展示中です。
 漢字で「湯丹保」と書かれています。でも、今の辞書で「ゆたんぽ」の項目を見ると、「湯湯婆」という漢字しか出て来ません。
 少し脱線しますが、「湯婆」で、「たんぽ」は、中国風の読みのようです。中国料理のスープは「湯」と書いて「たん」と読むし、「婆」の字は「麻婆豆腐」(まーぼーどうふ)のときには「ぼー」と読むので、湯たんぽの「ぽ」になっても不思議ではないのかも、と思いました。

写真 画びょう
写真 画びょう
写真 画びょう
写真 画びょう

画びょう

 次に、国策木製画鋲(がびょう)。
 「実用新案登録願31209号」「品質数量 絶対保障」「百個入」「トラヤ印画鋲」「少年保護東成学園作業部」の文字が入っています。
 トラっぽい動物の足もとに矢が2本の、「トラヤ」のマークらしき絵もあります。
 ほんとに100個も入ってるの?と思いながら、直径約5センチの紙製の容器を開けてみたら、結構ぎっちり詰まっていました。円盤状のところが木製で、針のところはさすがに金属製でした。短めですけど。
 木の部分には、ひび割れができています。
 湯たんぽと画鋲の「国策」は、「金属の節約・代用品の活用」という意味のようです。

少年倶楽部表紙

少年倶楽部 1940年 5月号

 こちらの「少年倶楽部」は、表紙に「国民挙(こぞ)って国策協力」の文字が入っています。セーラー服の少年の帽子の額のところは、「霞ヶ浦海軍航空隊」の文字が読めます。背景には、プロペラの飛行機が見えます。

婦人倶楽部付録表紙

婦人倶楽部 1940年 4月号付録
古い衣類の構成と染色・刺繍

 「婦人倶楽部付録 古い衣類の更生と染色・刺繍」表紙には、「国策協力運動 廃品活かして国強し」と書かれています。
 カラーページ(作品例)と、作り方のページの刺繍(ししゅう)図案もご覧いただきます。(下の画像をご覧ください。)
 刺繍図案の説明によると、「丸帯の半分を流行色の緑に染めて、赤の大きなバラを刺した若向きの外出用帯でございます。」1940年ごろ、緑色が流行っていたのでしょうか。
 カラーページの、ピンクの振り袖に緑の帯の見返り美人は、「高峰三枝子さん」 です。

婦人倶楽部付録表紙

婦人倶楽部 1940年 4月号付録 古い衣類の更生と染色・刺繍

写真週報表紙

写真週報190号 1941年10月15日号 表紙 (イランの女子青年団員)

 写真週報1941年10月15日号からは、「国策紙芝居の先生製造」
 記事によると、紙芝居は「国策宣伝の立派な手段として時局下に大きな役割を果たそうとして」いるのだそうです。紙芝居の指導者を養成するために大阪市中央公会堂で8日間にわたって行われた「文化紙芝居指導者講習会」のレポートです。

写真週報表紙

写真週報1941年10月15日号20~21ページ
「国策紙芝居の先生製造 大阪市」
上段右:演出部 上段左:絵画部
下段右:脚本部 下段中:音楽部 下段左:実際に上演している町会長さん

 写真と合わせて見てみます。
 「演出部」「絵画部」「脚本部」「音楽部」の四部に分かれ、「受講者はいずれも宣伝の戦士として終始熱心に講習を受けました」。
 「演出部」は、実際に大人数の前で上演をしています。
 「脚本部」受講者は、自作の脚本を実際に読んでみています。
 「音楽部」の受講生たちは、五線譜の書かれた黒板を見つめています。
 「絵画部」は、「紅一点も交えて」「熱心に絵筆を遊ばせています」。
 演出部の講習を終えて実際に上演している町会長さんの写真も載っています。

詳しい画像はこちらからどうぞ。
http://www.peace-aichi.com/20150222_kokusakumono.pdf

ピースあいちウェブサイトの「所蔵品の紹介」ページからは、バックナンバーの関連画像が見られます。よかったらこちらもどうぞ。
http://www.peace-aichi.com/05_objects.html